木目が好きな人と嫌いな人もおられると思いますが、
何気なくはまっているこの4枚の戸、木目を見て分かる通り
実はこの戸一枚の幅を一枚の板で作っています。
(写真では分かりにくいかもしれませんね。)
なんて言うと「すごい」という声が聞こえてきそうですが、
でも、これは突き板と言ってベニアに本物の無垢の板を貼ったもの。
元々天井用に製作された物で在庫していた物を
今回は、建具の鏡板に転用しました。
ただ、見た目にどうでしょうか
結構良く見えませんか?
同じように見えて、4枚の目が微妙に違うのが分かりますでしょうか。
これは材をスライスする位置により木の目が若干異なるために
起こることなのですが、天井などで板目を見せるときには
同じ材からとれた若干異なる目が続くことを意識して
時に板の順番を考えて天井をはり、意匠的に木目を見せる
ことを行います。
今回建具に使用したのは、突き板と言え、これは厚張りの突き板。
しかも、これだけ幅の広いものは今はもう手に
入りにくいのではないでしょうか。
戦後のモダンな建物のなかでは、
このような突き板を様々に活かしたデザインが多く生まれたのもまた事実です。
どうしても無垢の木に目を向けると、
合板等のこうした手を加えた木材は軽視されがちなのですが、
これは立派に木材の活用を考えて一枚の板から手を加え製作されたものだと思います。
近年のプリントのものや薄貼りの塗装品の突き板などでは、
この無垢の単板を貼った突き板のここまでの質感と雰囲気は出せませんね。
色々と好みはあるかもしれませんが、私は好きです。
一枚板で建具を作る
2016年2月12日