一寸した差し掛けの屋根の加工を製作中の作業場を覗いてみました。
今回はヒノキの材を多く使っていますが、栓や楔は手持ちのケヤキの盤を加工して製作しています。
頑張れコミセン君
木造の建物では、柱と梁が取り付くところを接合部と呼びますが、
柱には、ほぞと呼ばれる凸の形状の加工、土台や梁にはそのほぞを
受けるほぞ穴という凹の形状の加工が施されます。
一般的な木造軸組の建物では、ほぞの長さは短く、(短ほぞと言います。)
柱の横にはかすがいや金物を取り付け、地震の時など建物が変形した場合の
土台や梁から柱を引き抜こうとする力に耐える工夫を行います。
柱の位置、またその柱に取り付く壁の耐力(地震に耐える力ですね。)
の大きさにより、使用する金物を変えて対処していくのが一般的なのですが、
木の建物であれば、接合部もそれに合ったものとしたいもの。
この建物では、金物は補助的に使用し、柱、梁の接合部を
すべて長ほぞ差し込栓(コミセン)打ちとしています。
ほぞの長さが一般のものより長く、ほぞの向きと直交して
込栓という木の栓をうち、引き抜く力に対処する仕組みです。
梁の横に小さく出っ張っているのが込栓。
地震の時に柱を引き抜く力にこの栓が耐えてくれます。
個人の趣味はあると思いますが、
意匠的にもこれがポコポコ出ているのがユニークで好きです。
いざというときに力を発揮してくれる、小さな力持ちのコミセン君です。
がらんどうです。
弊社でのリフォームでは比較的多いのですが、
建物の内外壁を撤去し、がらんどうにしてのリフォームの現場が始まりました。
もちろん、構造躯体に耐震補強を施しての改修工事になります。
がらんどうにした内部はこんな感じ。ここからまた新しい家に生まれ変わります。
いくつかの例は、このブログやホームページでも紹介しておりますが、
昭和40年代から50年代初めの建物をこのような形で改修し、
住み繋いでいく試みを行うことが最近増えてきております。
ただ、一口にリフォームと言っても、安易に厚化粧のような
その場しのぎの改修を繰り返していくものも多く、住み繋ぐと
いうことで言えば、先の何年かの延命処置だけでしかないものも多く見られます。
確かにコストは安いのかもしれませんが、
後々での出費が多いのが、その場しのぎの特徴ではないでしょうか。
弊社なりのリフォームのやり方をこの現場を通して紹介していければと思います。
梅雨の合間
増築工事中です。
その建具枠修理できますか?
写真は今リフォーム中の現場に使用するラワン材の枠です。
耐震改修やリフォームを行うと、枠材にラワンを使用した建物を多く見かけます。
築30~50年のお宅だと、枠がラワンでべニアのフラッシュ戸なんて
仕様のお宅も多いのではないでしょうか。
「うちもなんか今風にきれいにリフォームしたいわ~」なんて考えて、
戸を含めてリフォームを考える方も多いと思います。
そんな時に、ほとんどの業者は枠まではずして、造作部材として
売られている部材を利用して、開口部のリフォームを行うと思います。
コストも安いし今は主流になってきていますが、弊社では使いません。
見た目の安さは良いですが、金物や部品等、流通しているもので対応できない場合
が多く、その後の修理で、普通の金物であれば何千円かで済むと思うのですが、
造作部材の金物はその倍以上の金額がかかることは多く、また、その性質上、削ったり
埋め木したり、塗装したりはできませんので、修理は不可能で交換になると思います。
はじめ金額がかかるものでも先のことを考えると、安い場合は多くあります。
この辺が、新築やリフォームの時のキモですね。
考え方にもよるのかもしれませんが。