「ムクリ」と聞いてピンと来る方は屋根にお詳しい方!?でしょうか。
ただいま、ムクリのある屋根の瓦工事が終盤に差し掛かっています。
初夏の空にいぶし銀の瓦が良く合います。
通常の屋根の施工においては、下地は平らなため、見た目にも
直線状の屋根が多いのですが、意匠的に屋根に「ムクリ(起り)」
をつけて、屋根勾配のラインの上方に曲線を持たせて施工する
ことがあります。
「ムクリ」をつけると、屋根の見た目に優しさや少し控えめな美しさが
感じられるようになる気がいたします。
意匠的な効果を目的としているといわれることが多いのですが、
「ムクリ」をつけることで屋根の勾配に変化を持たせ、
瓦屋根の水の切れを良くする雨じまいの効果があるという意見もあります。
「ムクリ」の反対は「反り」ですが、こちらはきらびやかだったり、
荘厳なイメージの意匠を用いたい建築、
社寺・仏閣、城郭などの屋根によく用いられますね。
ただ、この「ムクリ」は、曲線のバランスが非常に微妙で、
あまり大きな曲線だとかえって屋根が重く見えたり
不格好な意匠につながります。意匠は奥が深いですね。